新人が育たない原因とは?
人材育成(ティーチング・指導)の2つの対策ポイント

今、営業や販売、サービス、技術、事務といった現場仕事で新卒・中途を問わず「新人が育たない」という現象が起きています。
これを「個人のやる気・能力・世代性」のせいにしてしまうと、何も現場が改善せず会社としての売上・利益につながりません。
そこで、今回は新人の育成に必要なティーチングについて、ポイントを「仕事の考え方・やり方を教える」「仕事の面白さを実感させる」の2点に絞ってお伝えします。

新人にまつわる こんなこと、ありませんか?

日ごろ、皆さんの会社の新人に、こんな現象は起きていませんか?

新人が、いつまでたっても「新人のまま」である。
手持ち無沙汰にしていて、都度作業の指示を受けている。
仕事に対する真剣さがなく、やらされ感がすごい。
「早めにしてね」と伝えても、のんびりしている。
大した仕事もしないのに、「割に合わない」と言う。

多く当てはまっていると感じた方は相当重症といえそうです。

今、挙げたような問題に出くわすと、経営者・幹部の多くは

「自分の若いときは必死だったけどなぁ。何でミスしてキョトンとしてるんだ?最近のやつは仕事なめてるのかね。」
「口を開けば言い訳ばっかり、自分のことばっかり。少しはお客さんや会社に貢献してくれよ。」
「何でこんなヤツがうちの会社にいるんだ…誰が採用したの?」

といった、怒りや情けなさが入り混じったような感覚に陥ります。

実際、仕事上でミスをしたりトラブルを起こすことも少なくなく、改善すればまだ良いものの、反省する素振りすらないケースもあります。

仮に、現場での尻ぬぐいは責任者が行なったとしても、最終的な売上・利益に響いて頭を抱えることになるのは他の誰でもない、経営者・幹部なのです。

なぜ、新人が育たないのか?

いったい、なぜ新人は育たないのでしょうか?

実際、自社に入社する「新人全員が、頭が悪い、感性が鈍い」なんてことはないわけです。結構な個人差があったりします。

では、単純に個人の差だけで説明がつくでしょうか…?

・年齢が若くて人生経験がないから?
・男性よりも女性のほうが精神年齢が発達しているから?
・世代的に受けている教育が違うから?
・学歴がないから?
・積極的な性格ではないから?

たしかに、こうした「価値観」「やる気」「学力」「要領」といった、『個人のちがい・差』も大きく関係していると思われます。しかし、個人のちがいだけにフォーカスしてしまうと、「あいつは良い、こいつはダメ」という話になってしまいます。
そして、運よく勝手に育ってくれるような、要領の良い人が来るのを待つ状態となり、経営者や現場責任者の不安はいつまでも払いのけることができません。

多くの経営者は個人にフォーカスして、モチベーション研修を実施してみたり、プロによるコーチング面談を実施してみたりします。経営者も「何もしないよりはマシだろう」という感覚で実施している方が多いのですが、実際あまり効果を生みません。

実は、この状況を「会社組織(=チーム)」という観点で考えてみると、『ティーチング(指導)ができていないから』という原因に集約されるのです。

ティーチング(指導)とは?

不思議なことに、「指導」や「ティーチング」の定義を検索してみると、あまりそれらしいものが見当たりません。
指導はどれも学習指導的なものばかりで、ティーチングはコーチングと対比された説明ばかり。ビジネス向けにされた説明はほとんどないのです…。

…え!?まさか、日本の誰も、ティーチングや指導の定義を知らないの?と思ってしまうようなお粗末さに気づきます。
そうです。今の日本社会では、「基本のき」が抜けているんだと思います。

ティーチング(指導)の意味は、考えるとわかりますが、
一人前に仕事ができるように教え、導くこと。
です。

ここには、

①0人前の状態から、半人前の状態になるよう教える。
②半人前の状態から、一人前の状態になるよう導く。

という2つの要素が入っています。

例えば、野球でいえば、まず①半人前の状態を目指して、半年から一年はキャッチボールやバットの素振り、走り込みなどの基礎練習を積み重ね、ルールを身につけて試合に出場できるようにならないといけないわけです。

次に、練習試合の経験と共に「悔しい…」とか「やった!」という気持ちを味わわせて、野球=面白い、という感覚にすると次第に一人で練習したり、仲間に声かけしたり、一緒に工夫していくようになります。これが②の一人前の状態です。

しかし、どうでしょうか。

多くの企業では、こうした初歩的なことも教えずにいきなり試合に出場させて「チームが負けている」と現場責任者や経営者が嘆いているのです。

つまり、新人が育たないのは、私たちが

①仕事の考え方・やり方を教えていないから。
②仕事の面白さを実感させていないから。

だと言い換えることができます。

では、この①と②について何をすれば良いのか、紐解いてみましょう。

仕事の考え方・やり方を教えるには。

先ほどの野球の例では、バットの素振りやキャッチボールから始まり…ということで比較的イメージがつきやすかったと思います。

これは二つの理由から成ります。

一つめは、実際に野球をした経験、野球観戦に行った経験、テレビ中継を見た経験など、何らかの経験があってイメージが湧きやすいから。

二つめは、バットを振ったりボールを投げたりできないと試合には出られない、つまり「成長ステージが低い」と感じたから。

仕事の場合、経営者や幹部、現場責任者は当たり前と思っていても、新人からすると「まったく知らない世界」に足を踏み入れたことになります。使われている言葉や数字、動き方など、まったく別世界のような話なのです。

だから、新人は経験がないために、「何をしたらどうなるのか」のイメージが湧いていません。「経験がないだけ」であるにもかかわらず、いきなり怒られるのです。それは理不尽だと感じてやる気を失うでしょう。

そして、会社としての「成長ステージ」がどうなのか、何ができたら半人前なのか、どうしたら一人前なのか、全くわからない。だから、雲をつかむような話になってしまい、やる気が持続できずに退職していくわけです。

そう考えていくと、私たちは成長ステージ(「期限」と「基準」)を明確にする必要があります。

入社1か月目は、〇〇を教えて、△△をできるようにする
2~3か月目は、〇〇を教えて、△△をできるようにする
4~6か月目は、〇〇を教えて、△△をできるようにする

といった具合に、「いつまでに、何ができるようになってほしいか」というおおよその基準です。

具体的には、以下の5つをそれぞれの期間で決めていく必要があります。

考え方

そもそもの会社やサービスの目的、お客様に対する考え方、担当業務の役割など

全体像・仕事の流れ

会社全体の業務の流れ、担当する仕事の流れ、繁忙期や閑散期など

作業の手順(最低限すべきこと)

仕事を分解した一つひとつの作業の大まかな手順、使う道具や言うべきことなど

してはならないこと

お客様に迷惑になること、ケガにつながること、信用を損なうことなど

用語

業界用語、社内用語、職種で使われている独自用語など

まずは、「いつまでに、どんな作業ができるようになるか」だけでもあると目安になります。

これらがあることで、「その期間にできるようになったか、まだできないか」を判断することができ、本人が「やる気があるか、ないか」「努力したか、さぼっていたか」を知ることができるのです。

仕事の面白さを実感させるには。

仕事の面白さを実感させると言っても、実は人によって「面白さの基準」が異なります。
大きく分けて、以下の6種類が存在しています。

反応

自分がしたことに対して「お客様に喜ばれた!」「上司から褒められた!」というリアクションがあってはじめて、やりがいを感じる人がいます。新人がしたことに対して反応をしてあげましょう。

事実

「目に見えるハードルをクリアした!」という事実に対して面白さを感じる人がいます。新人がクリアできそうな、目に見える明確な目標を設けてあげましょう。

成長実感

人は、「できなかったことができるようになった」と実感することで初めて自信を得ることができ、また仕事に対して愛着を感じることができます。実感させるには、本人に対して上司や先輩が「〇〇ができるようになったね!」と伝えることが必要です。

証拠

報酬やインセンティブ、昇進・昇格、資格取得といった、仕事を頑張った証(=あかし)に対して面白さを感じる人がいます。ゲーム感覚で仕掛けを用意したり、報酬やインセンティブを用意すると良いでしょう。

バランス感覚

自分で仕事をコントロールできている感覚や、仕事とプライベートのバランスを取れている感覚に対して充実感を感じる人がいます。適度にメリハリをつけてあげたり、仕事を離れた付き合いを行なって一体感を醸成していくと良いでしょう。

手ごたえ

人はまんべんなく何でもできるようになりたいわけでなく、「自分のやりたいこと」ができているといきいきして働くものです。本人と話をしてみて、仕事の中に「本人が興味のあることがないか」や「将来につながりそうなものはないか」を見つけてあげると良いでしょう。

以上、今回は「新人が育たない」原因として、組織(チーム)の観点に立ち、

①仕事の考え方・やり方を教える → 成長ステージ(期限と基準)を決める
②仕事の面白さを実感させる   → 6つの中のどれかを新人に実感させる

に取り組んでみましょう。

取り組む中で、「できるから面白い」「面白いから工夫する」のサイクルが循環してくると、途端に新人が育ってきた、と感じるようになります。

ぜひ、2つのポイントを活用し、新人を戦力にしていきましょう!