もう何年も前の話になりますが、私が会社勤めで人事の仕事をしていた時、常に「人」のことで頭を悩ませていました。
現場や経営者から「何でもっといい人を採用できないの?」「人事って、ひとごとって読むもんね」など、クレームや皮肉を言われることが多々ありました。
・面接では意気揚々と話をするのに、入社してから文句ばかり言って働かない人
・誠実でレスポンスも良くタフそうなのに、入社後にメンタル不調となり休職する人
・会社ではニコニコしてサービス精神も旺盛なのに、突然退職願いを出してくる人
挙げればキリがないような状況でしたし、その度に本人と対峙して心も身体もヘトヘト。
その度に私は悔しい想いをし、腐ることもありましたが、「どうすれば現場の役に立てるか?」という根本に立ち返って、「どうすれば良い人が採用できるか?」「どうすれば辞めないか?」「どうすれば病気にならないか?」を考えては入社から定着、育成、退職まで考えうる対策を施す、といったことを繰り返していました。
こうしたことが、人事コンサルタントとしての私の糧になっていることは不思議なことではありますが、当時の私としてはどうしてもできなかったことが一つありました。
それが、『人の内面を見える化する』ということです。
応募者も社員も、「自分が評価される」という立場に立った途端に本当のことを言わなくなり、自分に都合の良い話をしだします。若い方であればまだ見分けがつきますが、一定の社会人経験を積んでくると、どこまでが本当でどこからが嘘なのか全くわからないのです。
私は、「データで客観的に人を描きたい」と考えるようになり、実に様々な検査(アセスメントや素行調査、適性検査など)を試してみました。しかしながら、検査の実施に手間はかかる、テスト結果に納得のいくものではない、それをどう活用すればよいのかが書いてない、また、納得のいく結果が出ると思ったら実施に2日かかり費用も20万円近くかかる、などどれも自分が思ったようなものではありませんでした。
独立後、人事コンサルタントの仕事をする中で、経営者も、管理部門の責任者も、人事担当者も同じ問題で頭を悩ませていることに気づいた私は、「無いなら自分で作ろう」と開発に着手することにしました。幸い、私自身が大学で心理学を学んでいたため、アセスメントや統計についても知識があり、メンバーと共に開発することにしました。
経営者や人事が知りたい必要な情報を、必要最低限の手間で知りたいと考えた私たちは、以下の3点を強く意識して開発していきました。
- ①受検者のパーソナリティや状態が一目でわかる。
巷にある多くの検査・アセスメントは、正直「難しい言葉が並びすぎてゴチャゴチャ」しており、どこをどう見ればよいのかわかりづらく、どうとでも読み取れるフシがあるため、結局のところ自分で分析する必要がありました。
なので、パッと見てわかりやすいものにする、という点を重視しました。
- ②検査の手間が必要最低限で済む。
検査の多くは短くて30分、長いものであれば90~120分と時間がかかります。また、担当者が個人ごとに受検の登録設定をしたり、手作業で集計や入力をする必要があったりして手間がかかります。
なので、難しい設定もなく、一人あたり1~2分程度で済むものにしました。
- ③検査後、どう対応したら良いかがわかる。
検査の結果からは、受検者がどんな人なのかが何となくわかりましたが、「じゃあ、結局、どうしたら良いのか?」があまり書いてありませんでした。
そこで、なるだけどうすれば良いのか?がわかるものにしようとしました。
当初は、システムとしての検査精度も使い勝手も決して良いとはいえない状況からスタートし、3年近くかけて徐々にブラッシュアップし精度を高めていきました。
活躍されている方からそうでない方、健康的な方からそうでない方、いろんな世代のいろんな職種の多くの方にご協力いただき、ご本人にフィードバックしながら作りこんでいったのです。
使い勝手も改善し、ようやく『ココトレ』としてリリースさせていただくことになりました。
ぜひ、多くの経営者、人事の方には、ココトレで個人の内面を見える化していただき、採用から定着、配属、育成、トラブル防止と実務に役立てることで、人材投資による費用対効果をより大きなものにしていただきたいと願っています。